確かに過大なセールストークをした業者も、ずさんな貸付を行った金融機関もひどいなと思いますよ。しかし……。
+++++
朝日新聞デジタル
シェアハウス投資、不動産業者を提訴へ オーナー13人
藤田知也
2018年3月27日07時04分
『シェアハウス投資で賃料不払いが相次ぐ問題で、オーナー13人が不動産業者スマートデイズ(東京)や建築業者など十数社を相手取り、計約2億円の損害賠償を求めて近く東京地裁に提訴することがわかった。実現できない高利回りの賃料を保証し、割高なシェアハウスを買わせて損害を与えたとしている。原告代理人の加藤博太郎弁護士によると、問題発覚後の損害賠償訴訟の提起は初とみられる。
原告のオーナーは30〜50代の会社員らで、1億円前後の物件をそれぞれ1〜2棟買った。スマートデイズは保証した賃料支払いを1月に打ち切り、一度も賃料を受け取れなかった原告もいるという。被告となるのは、スマートデイズと新旧経営陣のほか、投資を勧誘した不動産業者、建築を請け負った建設会社など十数社。
原告側は、保証賃料が実際の家賃とかけ離れ、「30年も保証できず破綻(はたん)するのが明らか」「割高な不動産を購入させるための方便だった」などと訴え、本来の物件価値と購入代金との差額の一部を損害として請求する。融資時に年収や預貯金の資料が改ざんされ、資金力を超える借金を背負った原告もいるという。訴訟提起についてスマートデイズは「現段階での回答は差し控える」とコメントした。(藤田知也)』
+++++
今回のケースは悪質すぎます。だから訴訟になるのも仕方ないと思います。
しかし……。
「30年の保証」なんてものは、もしそれが優良企業が緻密な調査と計算の上で約束したものであっても、何も保証していないのと同じですよ。
なぜなら、30年の間で社会がどのように変化しているか誰にも分からないのですから。
業者が倒産する可能性もありますし。
そういった意味では「10年の保証」すら本当に守られるのかどうか怪しいものです。
たとい業者が誠実であっても空き室が埋まらなかったらどうしようもありません。
そういうものなのですよ。
節税効果やら一切合切考慮した上でもリスクは残るわけです。
大地主サマならいざしらず、土地も資産もない人が借金をしてまでチャレンジするような安全商品とは思えません。
+++++
朝日新聞デジタル
シェアハウス借金2億円 年収1千万円会社員「破産だ」
藤田知也
2018年3月3日11時47分
『賃料収入に期待してオーナーになった1千人規模の会社員らが、億単位の借金を抱えて途方にくれる事態となった「シェアハウス投資」。不動産業者はどんな手口でオーナーを集め、銀行はなぜ多額の融資をしたのか。問題の背景を探った。
「もうおしまい。死ぬしかないかもしれない」。東京郊外の老夫婦のもとに昨秋、取り乱した娘から突然電話がかかってきた。
娘の夫が知らないうちにシェアハウス2棟を建てる契約を結び、2億円もの借金を抱えたのだという。不動産業者スマートデイズ(東京)が、賃料で年8%の高利回りを約束した。ところが、賃料が払われなくなることが着工前にわかり、更地と30年続く毎月100万円の借金返済が残った。
東京北西部にある二つの土地を鑑定してもらうと、買った値段は相場より3〜4割割高だった。転売しても千万円単位の赤字になりかねない。ローンを組む銀行に窮状を訴えると「(借金返済のために)また別のローンを紹介しますよ」と突き放された。
娘の夫は40代後半の会社員で年収は約1千万円。高所得なのになぜ投資? 本人は言う。「下の子どもが3歳で、自分の定年後も大学に通わせられるよう、老後の収入があればと思って。考えが甘かった。買ったときと同じくらいの値段で土地を売れなければ、破産せざるを得ない」
老後の蓄えに不安を抱える30…
有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。
残り:923文字/全文:1484文字』
+++++
オーナーが不動産業者と結んだ契約と、金融機関との間で結んだローン契約は基本的に別物のはずです。
『ローンを組む銀行に窮状を訴え』ても、銀行は「それはあくまでお客様と業者さんとの間のトラブルであって、当行の関知するところではございませんので」と返してくるでしょうね。
朝日の記事もこういった基本的な事柄をはっきり書くべきですね。
普通の感覚では、不動産業者と結んだ契約と、金融機関と結んだローン契約が法的に一つのものだと勘違いしてしまう可能性があるからです。